終焉
こうして一日を終えて
振り返ってみてほしい
今日なにをして
なにを思って
その結果どうなったか
いつもどおりに
ああ 今日が終わる と
そのまま眠りにつかないでほしい
いつもと変わらない
当たり前のように生活を送るのは
もったいない
命には限りがある
想像はしたくないが
明日死んでも
なにもおかしいことはない
死神が
貴方の目の前にやってくる
その時は
誰にも予想ができない
だからこそ
1日を大切にしてほしい
今日貴方が生きていたとしても
今日生きれなかった誰かがいる
貴方は
その誰かを知っていることはないけど
それは悲しいことに
間違いはない
貴方以上に行きたかった人かもしれない
生きるということは
命を大切にすること
自分の命だからと
投げやりになってはいけない
その命に責任を持ってほしい
誰よりも
生きていてほしい
貴方に向けて
今日も
命の叫びは
鳴り止むことはない
怠惰
明日
貴方にとって
それは希望
生きるもの全てに
平等に訪れる
ただそれは
貴方を誘惑する
怠惰の可能性
明日に期待することは
今日を疎かにすること
明日が辛いことは
今日を必死に生き抜いていること
貴方はきっと
失われない明日を
当たり前だと感じる
その感情は
貴方の思考を止め
愚かな行為へと誘う
死んでいるのと変わらない
明日は必ず訪れる
だからこそ
今日を生き抜いてほしい
傷つきながらも
生き抜いた経験は
やがて輝かしい記憶へとつながる
さて
貴方は今日なにをしますか
忘却
どれだけ幸せな思い出も
いつか忘れてしまう
貴方の記憶は
常に更新され
古い記憶は眠りにつく
貴方はきっと
ずっと覚えてればいいのに
絶対に忘れたくないのに
そう嘆く
でもそれは
神様がくれた
愛情の証
貴方の記憶は
幸せな思い出と同時に
辛い思い出も眠りにつく
覚えていることは
幸せと同時に
痛みが残るということ
人生は
辛い出来事の連続
幸せなんて
ほんの少ししかない
貴方はきっと
そのあまりの痛みの強さに
押し潰されてしまう
だから神様が
忘れさせてくれる
守ってくれる
貴方の記憶は
無くなることはない
貴方の終わりが近づいた時
それは迎えにくる
貴方はきっと
救われた想いになり
この世を去っていく
きっとそれは
この世で一番の幸せ
だから悲しまないで
忘れることは
貴方が生きるということなんだ
炯眼
暗闇の中
貴方はきっと
何も見えないという
貴方の目に
光が差し込み
見えると認識する
貴方には二つの目が合って
そこから見たものを
現実だと捉える
それ以外は何も見えないと思っている
違う
見たくない
ただそれだけ
貴方にはもう一つの目がある
心の中の
第三の目
その目に映るのは
貴方にとって
都合の悪いものばかり
だから貴方は
その目を閉じてしまう
誰だって傷つきたくないから
見えている景色は
きっと偽物で
映る景色は
紛れもない真実
今日も貴方は口遊む
なんて平和な世界だろう
烏兎
過去
それは二度と戻らない
記憶の中だけに存在し
やがて消えていく
現在
それは留めておく事は出来ない
一瞬で過ぎ去っていき
その時を感じさせない
未来
それは絶対に訪れない
目の前にあるはずなのに
辿り着くことはできない
今この瞬間にも時は流れていて
それは誰にでも平等に与えられていて
全てが貴方であると同時に
全ては貴方ではないのかもしれない
だからこそ大切にしてほしい
過ぎ去っていく現在を
偽りの存在しない唯一の時だから
過去に捉われるのは
未来に縋り付くのは
いつだって都合の良い貴方なのだ
幻影
夜
僕は一人で歩く
目的地なんてないけれど
それでも
歩き続けることで
生きていられる
朝
僕は独りで歩く
目的地はいつも決まっていて
だけど
歩き続けることは
死ぬことよりもつらい
夜
世界に色がつく
それは僕の理想郷
僕だけがそこにいて
愛で満たしてくれる
朝
世界から色が消える
まるで悪魔の巣窟
僕に寄り添っては
偽善を押し付ける
夜を終わらせようと
朝が襲い掛かり
朝に圧し潰されると
夜がそっと包み込む
人の目に映るのは
いつだって夢幻
足を踏み外せば
きっとまともでいられない
不愍
想像力には無限の可能性を秘めている
貴方はそれを使って幸せを得ようとする
でもね
貴方は時にそれに殺される
人間は哀れな存在
目の前の光景から
無数の死を想像する
死を恐れているはずなのに
それを愉しむ
まるで神にでもなったかのように
やがて制御できなくなり
世界から消えていく
人間は動物ではない
動物は自らの死を尊ぶ
人間は神ではない
神は自らを死に置かない
人間のみに与えられた小さな武器
それはこの世で最も残虐なもの
全てを理解したその刹那
世界平和は完成する