幻影
夜
僕は一人で歩く
目的地なんてないけれど
それでも
歩き続けることで
生きていられる
朝
僕は独りで歩く
目的地はいつも決まっていて
だけど
歩き続けることは
死ぬことよりもつらい
夜
世界に色がつく
それは僕の理想郷
僕だけがそこにいて
愛で満たしてくれる
朝
世界から色が消える
まるで悪魔の巣窟
僕に寄り添っては
偽善を押し付ける
夜を終わらせようと
朝が襲い掛かり
朝に圧し潰されると
夜がそっと包み込む
人の目に映るのは
いつだって夢幻
足を踏み外せば
きっとまともでいられない