英雄
世界から監視されている
その感覚は紛れもない真実
我が子を愛する母親のように
優しい目で僕を許してはくれない
生きていくための贖罪なのか
危うく僕は死を望んでしまう
此処から救い出されるなら
どうなったっていい
その貪婪な心が
虚偽に塗れた僕だけの英雄を創り出す
たとえ僕が影になったとしても
縋り付かずにはいられない
でも気づいてるんだ
何の意味もないってことに
英雄はいつだって
大衆に殺されるんだ
貴方はまだ生きていますか
それとも
もう死んでしまいましたか
兇徒
罪を重ねる子供たちは
今日もどこかでほめられます
血を分けた肉親は
相も変わらずに生きています
何の変哲もない日常
反吐が出る
人を殺すことが罪
その意味は表面だけ
真実はいつだって置き去りだ
黒を白で包んだような世界
色なんて最初から存在しない
ああ 今度は僕か それとも貴方か
太陽はまだ昇らないのか
世界から一本の電話
さようなら
次の犠牲者が決まった
贋者
鏡越しに僕を確認する
「今日の僕に不備はありませんか」
人生の中で幾度となく自問自答する
見えているから本物ですか
それは己が作り出した冀望でしかないのに
今日もまた こんにちわ
この世界を壊してみたら
そこにいる僕はどうなってしまうのだろう
感情線をなぞるように
爪を食い込ませる
これまでの精いっぱいの愛情と
これからの殺意をこめて
殺してみてもいいかな
親愛なる 僕 へ
梼昧
さあ寝ようか
その短慮が彼をこの世に産み出す
まただ
消えて欲しいと願うも決して叶わない
心がそう思わせているのか
気まぐれな神の悪戯か
あるいはもともと存在していたのか
臆するたび
口角を上げたかのように増していく
まるで流砂に沈んでいくように
ああ 死が待ち遠しい
目が覚める
いつのまにか眠ってしまっていたのか
いや、そんなことなど考えない
また僕はいつも通り
今日も同じ罪を繰り返す
誰でもいい
僕を裁いてください
日常
ただ、なんとなく
空白のようにも思えるこの世界で
白にも黒にも染まり切れない僕
だからこそ生きた証が欲しくなった
昨日の僕は
今日の僕なんて知らなくて
明日の僕は
きっと今日の僕を忘れていて
神様 僕はどこにいますか?
時は残酷にも刻み続ける
救いの道を見つけることなんてできない
ああ それもまた人生か
今日の僕だけは
まぎれもなく本物であってほしい
本物だけが僕を救ってくれる